ストーリー

創り手

Vol.03 / 宮城クリフさんに聞く、アートで描くSTORY

宮城クリフ(Cliff Beer Hiyagon Farm代表)× 藤戸淳平(株式会社Story Agent副代表)

-南国で人気高まるクラフトビール

藤戸:沖縄のビールといえばオリオンビールの印象が強いですが、沖縄では近年、連続してブルワリーが立ち上がり、クラフトビールを提供する飲食店も増えているようですね。

クリフ:現在(2020年5月時点)沖縄でクラフトビールを醸造している会社は11社に上ります。全国のクラフトビアシーンにおいてもブルワリーが多い県だと思います。クリフビール Cliff Beer Hiyagon Farmはそのひとつです。
沖縄には戦後、沖縄が日本に返還される前に建てられた外国人住宅と呼ばれる建物が多く残っていて、私たちは空港から約40分離れた沖縄市比屋根にある外国人住宅をリノベーションして醸造所を造り、ビールの販売もしています。

藤戸:白を基調とし建物が沖縄の歴史を象徴していますね。
以前はデザイナーとして活躍されていたと伺いました。

-本場イギリスで出逢ったクラフトビール

クリフ:”クリフ”という名前はデザイナー時代のアーティスト名です。日本の大学を卒業後にイギリスの美術大学に進学、現地就職をしまして11年間イギリスに住んでいました。イギリスといえばパブ文化が有名ですよね。イギリスに住んでいた頃は日常的に友人達とロンドンのパブを巡り歩いていました。

藤戸:エールビール発祥といわれるイギリスでの生活が今のクリフさんにもたらした影響は大きいのではないですか?

クリフ:本当にその通りで、ビールを心から好きになったのは、イギリス南西部のウェールズという地域に住んでいた頃に地元のパブで飲んだリアルエールがきっかけでした。ウェールズには「CAMRA」というリアルエールの文化を守る団体があり、教会などでCAMRAが開くリアルエールのイベントによく参加してました。当時は自分でビールをつくるなんて考えてもいなかったですが、イギリスのビールを日本で再現したいと思い醸造を始めました。

藤戸:日本でリアルエールを飲める機会は少ないですもんね。イギリスのリアルエールを飲んだ時のお客さんの反応はどうでしたか?

クリフ:皆さんイギリスの微炭酸のビールを美味しいと言ってくれたのですが、お客さんと対話をする中でもっと沖縄の人を喜ばせることができるビールをつくれると感じるようになりました。やがて、イギリスと沖縄とでは気候や風土も異なるので自分の表現したいビールを沖縄の温度と湿度に合わせ、調整する必要性があることに気付き、自分がつくりたいビールとお客さんが飲みたいビールのすり合わせをしてつくるようになりました。

藤戸:地域の特色によってビールの味わいも求められる味が変わってきますよね。それではCliff Beer Hiyagon Farmで醸造しているクリフビールの紹介をお願いします。

クリフ:定番ラインナップは、「ペールエール」「IPA」「ヴァイツェン」「スタウト」となっています。

藤戸:どのラベルもアーティストの経験が活かされた素敵なデザインですね。

クリフ:ラベルのデザインをする時は、まずキャラクターをつくり、物語を描いています。それぞれのビールのラベルに物語があるので少し紹介します。

< PECKER’S EXCUSE キツツキの言い訳>

「白トリュフのリゾットがでてきたんだから白ワインにしなよ」
そう言いながらつつくキツツキ。

「つつくなよ!なんでそんなにおせっかいやくんだよ?ぼくが赤飲もうが、白飲もうが、君には関係ないだろ。」と男。

「関係あるよ。人と人とのつながりが希薄なこの世の中だからこそ、ぼくは一歩踏み込んで人とコミュニケーションすることで幸せの連鎖が生まれると信じてるんだ。つまりは祈りにも似たつつきなのさ!」とキツツキ。

よくわからない持論を展開しながら今日もキツツキはどこかでだれかをつつきます。

Happy Blue Boar
ハッピーブルーボー
(幸せの青いいのしし)

「ねえBB (ブルーボーの相性)、今日ぐらいゆっくりできないの」と女。
顔が恍惚のあま色で染まるブルーボー。
普段は灰色の顔が、幸せに満ちてくると鮮やかな青みを帯びてくるのだ。

「オールドゲートで、新しいプロジェクトの立ち上げがあるんだ。
5時までにはもどってくるよ。」とブルーボー。

「頭は仕事モードでも、その青い顔が、今日は『君といたい』って語ってるわよ。
会議は相棒のベアーに任せたら?」と女。

「ぼくだって君と一日中ゆっくりショパンのワルツでも聞いていたいさ。でもね、ハッピーブルーをみんなとシェアするのが僕の役目なんだ。わかってれ、ハニー。」

鍛え上げられた体にさっと白いシャツをまとい、ブルーボーは今日も鈍色の街に消えていく。
世界を幸せの青に染めるために。

-地域と共に…

藤戸:クリフさんの世界観が全面に投影されていてとても面白い物語ですね。飲むビールを選ぶ際に物語で決めるという選び方も提案できそうです。
ここまでお話を伺い、今後どんなビールをつくるのだろうと、ワクワクしています。ぜひ今後の展望を聞かせてください。

クリフ:今後は沖縄の農家さんと共同でビールをつくりたいと思っています。沖縄の小麦とコリアンダーを使ったベルジャンホワイトエールや、農家さんから畑を借りて自分たちで栽培した大麦を使ったビールもつくりたいです。
一回の仕込みが150Lと少ないので失敗を恐れずにチャレンジしていきたいです。

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