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Vol.09 / 新美泰樹さんに聞く、地元創生

新美泰樹(OKD KOMINKA BREWING代表)× 藤戸淳平(株式会社Story Agent副代表)

-創業70年を超える製菓製造会社の4代目

藤戸:現在、愛知県知多市岡田で古民家を改装したブルワリー「OKD KOMINKA BREWING」でビール醸造をされているということで、そこに至る経緯を教えてください。

新美:知多市岡田で創業70年になる、あられやおかきを製造販売している竹新製菓という会社の長男として生まれ育ちました。幼い頃からプロ野球選手になることが夢で24歳まで野球を続けていました。大学を卒業して野球を辞める24歳までは、アメリカ、ドイツのリーグでプレーしていました。この時の生活がブルワリーを起業するきっかけにもなりました。

藤戸:海外での生活にきっかけがあったのですね。

新美:そうですね!やはりアメリカ、ドイツでの生活が大きく影響しています。当時、特段クラフトビールを飲んでいたわけでもないですが、アメリカ、ドイツで飲むビールはどこか日本のビールと違うなと思いながら飲んでいました。そして飲んでいて特に印象に残ったのが現在最も力を入れているスタイルの一つであるヴァイツェンでした。

藤戸:ヴァイツェンは明らかに日本の大手メーカーのビールとは味わいも香りも異なり、飲みやすいビールですよね。
家業を継ぐ選択はなかったのですか?

新美:プロ野球選手になる夢を諦め、家業を継ぐために34歳まで働いていました。しかし、岡田という街を世界に誇れる街にしたいという私の展望と社長である父親の方針とぶつかり、私が会社を離れることにしました。

-訪れた転機

藤戸:その後はどちらへ?

新美:会社を辞め、上京しました。岡田を出ても、岡田を世界に誇れる町にしたいという思いに変わりはないので、何をしたら実現できるかずっと模索していました。東京で仕事を探す上で、以前から興味を持っていた飲食業に絞り、品川にある醸造所併設レストラン、T.Y. Harborのリニューアルのタイミングで求人に応募しました。

藤戸:実際に飲食店で働いてみてどうでした?

新美:400人を超える大型レストランでが平日、休日、ランチ、ディナー問わず満席になるので大変なことも多かったです。
働く中でT.Y. Harborにビールを求めてくるお客さんが多いことに気づきました。ビールには人を呼ぶ力があると感じ、ビールについて勉強するようになりました。以前から自然と海外のクラフトビールや日本のクラフトビールも飲んでいましたが、ビアスタイルや大手メーカーとの違いも初めて知ることばかりでした。また、ビールについて勉強すればするほど醸造にも興味を持つようになりました。T.Y. Harborの醸造部門はすでに人手が足りていたので、働かせてもらえる醸造所を探し、鳥取県の大山Gビールで10ヶ月働かせてもらいました。

藤戸:大山Gビールではどんなことを学びましたか?

新美:大山Gビールでの見習い期間はOKD KOMINKA BREWINGのベースになっています。業務は瓶詰めや出荷作業が主でしたが、仕込みの日は毎回見学して醸造について教えてもらいました。
大山Gビールはとても厳しい基準の中でビール作りをしているので、そのようなブルワリーで働くことができて本当に良かったと思ってます。

藤戸:その後岡田でブルワリーを立ち上げられたのですね!
岡田はどういう町ですか?

新美:岡田は400年以上の歴史があり、当時は全国から女工さんが働きにくるほど賑わっていて、劇場や飲食店もたくさんあった町なんです。
岡田は、奥と中と里の3つの地区が統合した町で、僕が活動する「奥」は今でも昔の古民家や蔵が残っている小さな町です。
全国的に有名な町ではないため、海外からの観光客はごく僅かでした。OKD KOMINKA BREWINGを立ち上げ、ブルワリー、飲食店の運営を行ない、お昼まで楽しめる町になってきたと感じてます。
次は夜まで楽しめる町、更に一泊二日で楽しめる町、最終的に住みたくなる町にしていきたいです。

藤戸:古民家でブルワリーをやる上で苦労したことなどありますか?

新美:古民家なので隙間も多く、扉がないところがあり保健所から衛生面について厳しく指摘を受けましたが、何度も何度も保健所に掛け合いようやく許可を得ることができました。保健所がいう通りの綺麗な建物を作るのは簡単ですが、そうすると岡田の良さである古い街並みを損ねてしまいます。
古民家を活用して岡田を面白くしていくためにも、壊して新しいものを作るのではなく、今ある建物を有効活用したロールモデルを作りたいと思っています。

藤戸:どういうコンセプトでビールを作っていますか?

新美:まずビールを勉強し始めて驚いたのはビアスタイルの数でした。世の中には100を超えるビアスタイルがあり、味も香りも千差万別。
クラフトビールならビールが苦手という方にでもスタイルを変え、その人に合うビールを提案できるのではないかと思いました。クラフトビールを広めていくためにも、クラフトビールギーク層よりクラフトビールに馴染みの浅い人たちが手に取りやすいビールを作っています。

-This is OKD

藤戸:現在醸造されている定番ビールの紹介をお願いします。

新美:定番でつくっているのが3種類です。
特にこだわっているのが愛知県産のいちじくを使ったFIG ICHIJIKU WEIZEN。2種類目は梅を使ったPLUM-UME SAISON-です。大山Gビールのグランセゾンの味に近づけたくて梅を使うことで酸味を出したビールです。
3種類目がMAPLE&CINNAMONALE。メープルの甘みと、ほのかにスパイシーなシナモンをきかせたペールエールです。

藤戸:どれも個性豊かで美味しそう…
最後になりますが今後の展望を教えてください。

新美:岡田に日本全国、世界から人を呼びこむため、OKDの取り扱い店舗を広げます。OKDのビールを通して人と人とのコミニュケーションや出会いを作り、地域経済活性化に繋げ、面白い町にしていきたいです。

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